リフォームの着工前は、荷物を片付けるだけでは準備が終わりません。使えなくなる設備、工事中の出入り、近隣への説明、追加工事の連絡方法まで決めておくと、始まってからの慌てごとを減らせます。準備する項目に、担当者と期限を付けて共有することが大切です。
この記事では、戸建て・マンションに共通する着工前の15項目を、確認する相手と記録する内容まで整理します。工事の規模や管理規約によって必要な準備は異なります。2026年9月25日に確認した業界団体・相談機関の案内をもとに、住みながら進める場合と仮住まいの場合を分けて解説します。
最初に、施主と施工会社の役割を分ける

図は役割を整理するためのものです。家具移動や近隣挨拶を必ずどちらか一方だけが担当する、というルールではありません。契約内容を確認し、誰がいつまでに行うかを双方で決めます。
工事責任者と施主側の窓口を一人ずつ決め、工程表・最終図面・設備品番の一覧を同じ版にそろえます。家族から別々の希望が現場へ伝わると、変更内容や追加費用の認識が食い違うことがあります。小さな変更でも、決めた窓口へ集める運用にします。
マンションリフォーム推進協議会の着工前の案内は、管理組合への手続きや近隣説明、工事内容の認識合わせ、仮住まい・駐車場等の確認を挙げています。マンションの受付締切は建物ごとに違うため、着工直前ではなく契約前から管理規約を調べましょう。
着工前15項目チェックリスト
各項目を確認したら、担当者、完了予定日、決めた内容の保存先を記入します。日付が未定の項目を、確認済みの印だけで終えないようにしてください。
| 項目 | 確認する内容 | 主に相談する相手 |
|---|---|---|
| 1. 工事範囲の家具・荷物 | 移動範囲、大型家具の担当、保管場所、復帰方法 | 施工会社・家族 |
| 2. 貴重品・壊れ物 | 現金、書類、写真、精密機器の安全な保管 | 家族 |
| 3. ペット・植物 | 騒音や粉じんから離す場所、外部預かりの要否 | 家族・預かり先 |
| 4. 付属品・家電の取外し | カーテンレール、エアコン、照明等を残すか、誰が外すか | 施工会社 |
| 5. 水道・給湯 | 停止する日と時間、飲料・調理・手洗いの代替 | 施工会社 |
| 6. 電気・通信 | 停電する回路・時間、冷蔵庫や仕事への影響 | 施工会社・家族 |
| 7. ガス・調理 | ガス停止、使用できる調理器具と場所 | 施工会社 |
| 8. トイレ・入浴 | 使用不可期間、別の設備・外部施設の利用 | 施工会社・家族 |
| 9. 近隣への説明 | 対象範囲、時期、伝える内容、再説明する条件 | 施工会社・管理者 |
| 10. 搬入・車両・通路 | 駐車場、荷下ろし、通学路、共用部養生 | 施工会社・管理者 |
| 11. 建物内外の手続き | 管理組合承認や必要な申請、工事可能時間 | 管理組合・施工会社 |
| 12. 仮住まい | 必要期間、延長、家具・ペット・通勤条件 | 家族・手配先 |
| 13. 引越し・荷物保管 | 往復の手配、保管量、延長時の費用 | 引越し・保管会社 |
| 14. 郵便・配送 | 一時転居時の郵便、宅配、定期配送の受取先 | 家族・各サービス |
| 15. 連絡・鍵・緊急対応 | 現場責任者、休工日の連絡、施錠、鍵の返却 | 施工会社・家族 |
家具移動が工事費に含まれるか、取り外したエアコンを再使用できるかなどは、現物と見積もりで確認します。施主が移動する荷物と施工会社が運ぶ物を写真へ印付けしておくと、残す物を処分する誤解を減らせます。
いつまでに準備する?工程表から逆算する
契約前から確認すること
工事範囲、施工可能な曜日・時間、管理組合等の手続き、仮住まいの可能性、融資や制度の手続き時期を調べます。申請や承認が必要な工事で、着工日だけを先に確定しないようにします。
工程が決まったら手配すること
設備を使えない期間、荷物の移動日、仮住まい・引越し、駐車場、近隣説明の予定を決めます。受験、在宅勤務、通院など動かしにくい日も先に伝えます。納品遅れや追加工事があったとき、誰がいつ連絡するかを工程表と一緒に確認します。
着工直前に現地で合わせること
最終図面・設備・仕上げの品番、残す物、養生、搬入経路、使用する水道・電気、鍵の管理を確認します。元からある傷は写真に残し、双方で見られるようにします。契約後に変更した仕様が、古い図面のまま現場へ伝わっていないかも確かめてください。
近隣挨拶は、工事の影響と建物のルールに合わせる
挨拶先を一律に何軒と決めるより、音や振動、足場、搬入、車両の影響を受ける範囲を施工会社と相談します。マンションでは上下左右の住戸に加え、管理規約や管理者の指定を確認します。戸建てでも、道路や敷地の配置によって影響する家は変わります。
説明には、工事内容、予定期間、作業時間、音が大きくなる作業、車両の出入り、施工会社の連絡先を入れます。施主の私的な連絡先を無条件に配布せず、どの連絡を施工会社が受けるかを決めましょう。工期や作業時間が大きく変わる場合は、追加の説明も必要です。
手土産の有無や金額より、具体的な説明と連絡の取りやすさを重視します。相手が受け取りを希望しない場合に、無理に渡す必要はありません。不在の家への案内方法も施工会社とそろえておきます。
住みながら工事できるかは、設備と通り道で判断

図は住みながら工事するときの三つの確認点です。右の通路は、物を脇へまとめれば必ず安全という意味ではありません。必要な幅、段差、避難経路、養生の滑りやすさ等を施工会社と確認します。
| 生活上の条件 | 住みながらの案で必要な準備 | 仮住まい等を検討したい状態 |
|---|---|---|
| トイレ | 安全に使える別のトイレ、使用不可時間の共有 | 夜間も使える設備・経路を確保できない |
| 水・給湯 | 飲料水、調理・手洗い・入浴の代替 | 必要な生活用水や衛生を維持できない |
| 就寝・休息 | 工事区画から分けた部屋、騒音時間の把握 | 安全な寝室や休息場所がない |
| 出入り | 養生、資材置場と別の動線、施錠 | 工事区画を通らないと出入りできない |
| 家族の事情 | 子ども、高齢者、療養中の人等の過ごし方 | 粉じん・音・出入りの負担を避けられない |
浴室交換なら必ず何日、全面工事なら必ず仮住まい、と名称だけでは決まりません。工区を分ける案、使えない期間だけ外泊する案、全期間移る案を、費用と生活の負担で比べます。
仮住まい費用は家賃以外も計算する
家賃に加え、初期費用、往復引越し、保管、駐車場、交通費の差額、工期延長時の料金を確認します。契約を延長できるか、短期解約の条件は何か、ペットや子どもと住めるかも重要です。
たとえば仮に家賃月15万円で2か月住み、初期費用10万円、往復引越し20万円、保管等10万円が必要なら、合計60万円です。これは計算の仮例で、全国相場ではありません。 延長すると家賃だけ増えるのか、保管や駐車等も増えるのかを別に確認します。
親族宅を利用できる場合も、荷物の量、通勤・通学、家事の分担、延長の可否を相談します。宿泊費がないことと、生活の負担がないことは同じではありません。
ペット・植物・子どもがいる家の準備
ペットは工事中の音や人の出入りだけでなく、脱走防止も考えます。作業区画に入らない部屋を確保できるか、玄関の開閉が続く日に預けるかを決め、預かり先を使うなら条件と空きを早めに確認します。体調に配慮が必要なら獣医師へ相談してください。
植物は、粉じんを避けながら光や換気を確保できる場所へ移します。長期間密閉する方法を一律に勧めず、大きな鉢を誰が運ぶかを決めます。子どもや高齢者には入ってはいけない場所を伝え、作業員の出入りが多い時間帯の見守り方法を家族で共有します。
食事・入浴・洗濯の代替を具体的に決める
キッチンが使えない期間は、冷蔵庫の場所、使用できる電源、購入する食事や外食の予定を考えます。別室に調理器具を置くなら、電気容量、換気、熱源の使用条件を確認し、工事区画や可燃物の近くで無理に調理しないようにします。
入浴や洗濯は、利用する施設の営業時間、移動、家族の利用条件、料金を実際に確認します。一律の週予算で済ませず、使えない日数に応じて交通費等も加えます。工期が延びた場合に変更できる予定も決めておきましょう。
追加工事は内容・金額・日数を確認してから
解体後に傷みが見つかるなど、計画変更が必要になる場合があります。住まいるダイヤルの追加費用に関する案内は、変更時の協議と、決定内容を書面に残すことを勧めています。
着工前に、追加が分かったときの連絡先、写真・説明の方法、変更見積もり、施主の承認、工期への影響を確認します。連絡が取れないから予定外の工事を進める、という認識を残さないことが大切です。緊急時の安全確保と、通常の追加工事の承認は分けて相談します。
補助金や融資の手続きも工程表に入れる
使う予定の制度やローンがあれば、対象工事・契約・着工・申請・支払いの時点に条件がないか、公式案内と担当者に確認します。すべての補助金が同じ申請順序とは限りません。詳しくはリフォーム補助金のまとめを入口に、対象の制度を調べてください。
必要な工事前写真や書類がある場合は、誰が用意するかも記入します。受付や受給が未確定の金額を、着工金などの支払原資として先に計算しないようにします。
よくある質問
家具はすべて自分で移動する必要がありますか?
契約と現場条件によります。小物は施主、大型家具は施工会社等と分担する場合もありますが、運搬費や破損時の扱いまで事前に確認します。処分する物と残す物は明確に分けましょう。
留守中に工事してもらえますか?
可能かどうかは施工会社と相談します。鍵の受渡し、立入可能範囲、施錠、日々の完了報告、変更時の連絡方法を決めてください。貴重品等は別に保管します。
職人さんのお茶やトイレはどうしますか?
会社の運用を確認し、休憩場所、使用するトイレ、駐車、水道・電気の利用を着工前に決めます。施主が毎日現場へ来る前提になっていないかも確認しましょう。
完成予定日が変わったら?
理由と新しい工程、仮住まい・保管・引越しへの影響を確認します。費用負担は契約と事情によるため、遅れの連絡だけでなく、変更する手配と負担について協議した記録を残します。
引渡し時に受け取る物は?
完成図面や変更記録、設備の説明書・保証書、工事保証の内容、見えない部分の施工記録、点検先等を確認します。何を渡してもらうかを着工前に話しておけば、途中の記録漏れも防ぎやすくなります。
最終打合せでは、未決定の項目を残さない
15項目の表を使い、担当・期限・決定内容を施工会社と確認します。全部に印が付いていても、生活できる場所や追加工事の承認方法が曖昧なら、そこをもう一度話し合います。計画段階の見落としはリフォームで後悔しやすい15の確認点でも確認できます。




