防火仕様の玄関ドアへ交換したいときは、現在の玄関に必要な防火の条件を先に確認し、その条件を満たす商品・寸法・ガラス・鍵の組み合わせから選ぶことが大切です。見た目が似た通常の玄関ドアと防火戸を、価格だけで置き換えることはできません。
LIXILの防火戸リシェントⅡ玄関ドアは、2016年2月18日に発表され、同年4月1日発売と案内された商品です。2026年の新商品ではありません。この記事では当時の発表を整理したうえで、2026年9月25日時点で公式に案内されているリシェント玄関ドア3防火戸を検討する際の確認点を解説します。
防火戸リシェントⅡの発売は2016年

写真:LIXILが2016年の発表で紹介した防火戸リシェントⅡの施工例。現行リシェント3の施工例や、当サイトの施工実績ではありません。2016年2月18日のLIXIL発表
当時の特徴は、既存のドア枠を残して新しい枠や額縁で覆うカバー工法に、防火設備の認定を受けた玄関ドアを追加したことでした。発表中の業界初という説明も、木造戸建住宅用としての2016年当時の位置づけです。
この仕組みは、外壁を大きく壊す工事を避けて玄関を交換する選択肢になります。ただし、過去の商品仕様・価格・鍵の種類を現在の注文条件として使わないようにしてください。修理で旧商品を調べている場合は、商品ラベル、設置時期、写真を用意し、交換部品の適合を確認します。
現在選ぶなら、リシェント3の防火仕様を確認

写真:現行のリシェント玄関ドア3シリーズの商品ページに掲載された空間例。写真の扉を防火戸の認定仕様と断定するものではありません。防火仕様で選べるデザインと設備は、個別の仕様表で確認します。現行リシェント3シリーズ
公式ページにはリシェント玄関ドア3とリシェント玄関ドア3防火戸が案内されています。両者は同じシリーズ名を含みますが、防火の適合条件まで同一ではありません。カタログや見積書の正式な商品名に、防火戸の指定が入っているかを確認しましょう。
| 確認事項 | 防火設備が必要な玄関 | 防火設備が不要と確認された玄関 |
|---|---|---|
| 防火戸の認定仕様から選ぶ | ○ 必要な性能・仕様を照合 | △ 防火戸を採用する場合は適合を確認 |
| 通常タイプを、見た目だけで代用する | × | △ 設置条件と希望性能で選ぶ |
| デザイン変更だけでガラスや部品を自由に変える | × 認定仕様との一致が必要 | △ 商品が対応する範囲で選ぶ |
| 既存枠の状態・寸法を現地調査する | ○ | ○ |
○は必要な確認、×はその判断では進められないこと、△は条件によることを示します。表だけで個別住宅の法的な要否を判定するものではありません。
防火・寸法・断熱と鍵の順番で絞る

図の順番で確認すると、気に入ったデザインを選んだ後で設置できないと分かる手戻りを減らせます。最初に住まいの条件、次に工事の成立、最後に使い心地を決めます。
1.防火設備が必要な開口か
防火地域・準防火地域という地域区分だけでなく、建物の構造や、玄関の位置なども確認が必要です。LIXILも防火設備が必要となる開口部と、対応する認定の確認先を案内しています。手元に確認済証や図面があれば、住所、建物情報、玄関の位置を施工店や設計者へ伝えて判断してもらいます。LIXILの防火設備に関する説明
「この地域だからどの防火戸でもよい」という確認で止めず、採用する商品と寸法が必要な仕様を満たすかまで見積書・図面に残してください。防火ガラスや部品も、意匠だけを理由に変更しないことが大切です。
2.既存枠の状態と、交換後に通れる幅
カバー工法は既存枠を利用するため、枠の傷み、ゆがみ、周辺の状態を調べます。腐食や不具合がある場合は、そのまま覆えばよいとは限りません。補修が必要なのか、別の工事方法が適切なのかを見積もり段階で確認します。
また、完成後の有効開口、下枠の高さ、扉の開く範囲を図面で確認します。大きな家具、ベビーカー、車いすを通す予定がある場合は、その実寸を伝えてください。玄関内の収納や外の手すりにハンドルが当たらないかも見ておきます。リシェントのプランニングガイド
3.断熱・採光・鍵を生活に合わせる
寒さ対策ではドアの断熱仕様だけでなく、玄関まわりの窓やすきまの原因を確認します。採光を増やしたい場合も、選べるガラスやデザインは防火仕様と合わせて選定します。
電気錠を選ぶときは、普段使う鍵の方式、電源方式、電池交換や停電時の操作を確認してください。スマートフォンを持たない家族も出入りできるか、鍵を忘れた場合の対応はどうするかまで決めると安心です。高機能さより、家族が無理なく使えることを優先します。
現行の防火戸で選べる断熱仕様と、鍵の具体的な違い
リシェント3の公式デザイン一覧では、防火戸は断熱仕様のk2・k4として別枠で案内されています。通常タイプの高断熱仕様やアルミ仕様まで、すべて防火戸で選べるという意味ではありません。LIXILはk2のほうがk4より断熱性能が高いと説明しており、実際の熱貫流率はドアの種類で変わります。寒さが主な悩みなら、同じ防火デザイン・寸法でk2とk4の見積もりを並べると、意匠を変えずに断熱へかける費用を判断できます。防火戸のデザイン・仕様/LIXILのk2・k4の説明
電気錠のFamiLockは、登録したスマートフォンをバッグに入れたまま、扉のボタンで施解錠できる方式です。カード・タグ・リモコン・手動キーも案内されているので、家族全員をスマートフォン操作に揃える必要はありません。
| 使いたいこと | 手動キーで操作 | FamiLock | FamiLock+追加機器 |
|---|---|---|---|
| スマートフォンを取り出さず、扉のボタンで施解錠 | × | ○ 登録・対応条件あり | ○ |
| 屋外から暗証番号で施解錠 | × | × 屋外リーダーなしの場合 | ○ テンキー付屋外リーダーを追加 |
| 室内の離れた位置からボタンで解錠 | × | × 屋内ボタンなしの場合 | ○ ワイヤレス屋内ボタンを追加 |
| 家族の使い方の例 | 鍵を差す操作に慣れ、機器管理を増やしたくない | 荷物が多い帰宅時の鍵探しを減らしたい | 暗証番号や室内ボタンも使いたい |
○=記載構成で可能、×=その構成では備えない機能です。機器の故障時まで利用を保証する表ではありません。屋外リーダーと屋内ボタンは別途有償で、S型ハンドルとの組み合わせやアルミ仕様には制約があります。 防火戸で選ぶ型番・ハンドルに適合する組み合わせを、発注書で確定します。
スマートフォンを持たない家族にはカードやタグ、機器操作を避けたい家族には手動キーという使い分けもできます。ただし、電池切れ・停電・故障に備え、メーカーは外出時の手動キー携帯を求めています。便利な方式を追加しても、予備の解錠手段と電池管理は残ります。FamiLockと追加機器の公式説明
1日施工は、注文から1日で完成する意味ではない

カバー工法の1日施工は、条件が整った後の現場での取付けを指す案内です。図の前半にある現地調査、仕様決定、製作・配送まで1日に含まれるわけではありません。LIXILの1日施工の説明
契約前には「商品が届く予定日」「工事当日に立ち会う時間」「出入りできない時間」「追加補修が見つかった場合の対応」を確認します。防犯上、工事終了時に施錠できる状態になるか、不測の事態への備えも施工店と共有してください。
工事後は、開閉、鍵、ドアクローザー、扉と枠の当たり、段差を実際に確認します。電気錠は家族がその場で操作を試し、取扱説明書・鍵の登録方法・不具合時の連絡先を受け取ります。
費用の見積もりでは何を分ける?
現在の公式ページには、防火戸の価格帯目安として516,900円~の掲載があります。ただし、トップページの価格帯表示だけでは、自宅の選択仕様や取付工事を含む税込総額は決まりません。この金額を玄関交換の支払総額に置き換えず、型番を指定した正式見積もりで確認してください。現行商品の公式価格帯
2016年発表に記載された旧商品の価格は、当時の税・工事等を含まない条件の価格です。現行品の相場や、2026年の値上げ幅を求めるために単純比較しないようにします。
| 見積もりの項目 | 確認すること |
|---|---|
| 商品 | 防火戸の正式名称、デザイン、寸法、断熱仕様、ガラス、鍵 |
| 取付け | 既存扉の撤去、新枠・額縁、固定、防水などの工事範囲 |
| 追加工事 | 枠や周辺の補修、電気工事、段差対応、必要な部材 |
| 撤去物・諸経費 | 運搬・処分、養生、出張・駐車などの扱い |
| 税・保証 | 税込総額、商品保証と施工部分の保証、調整窓口 |
補助金の可否は、商品名だけで確定しません。対象工事や一緒に行う工事、申請条件を見積仕様に合わせて確認します。制度全体の整理はリフォーム補助金2026の解説を参照してください。
国の先進的窓リノベ2026事業では、既存住宅の窓やドアを高性能な断熱窓・ドアに改修する費用が対象とされ、住宅は1戸あたり100万円が補助上限です。ただし玄関ドアの交換だけでの申請はできず、窓の工事と同一契約・同時申請の場合に限り対象となります。また1申請あたりの合計補助額が5万円以上でないと申請できません。要件を満たす場合に申請可能ですが、対象製品・仕様・金額は公式および施工店で要確認です。あわせてみらいエコ住宅2026事業など住宅省エネ2026キャンペーンの他事業との併用可否も確認するとよいでしょう。なお、これらの国の補助金は施工を行う登録事業者が申請を代行し、消費者本人が直接申請することはできません。
よくある質問
リシェントⅡを使っています。すぐに交換が必要ですか?
旧商品であることだけを理由に交換する必要があるとはいえません。開閉や鍵の不具合、部品の入手、断熱や使い勝手の悩みを整理し、修理できる範囲と交換を比較します。商品ラベルと不具合の写真があると照合しやすくなります。
既存のドアが防火戸なら、同じ大きさで交換できますか?
同じ大きさでも、新しい商品がその現場と認定条件に合うかの確認が必要です。以前の仕様を推測せず、現地調査と商品情報の照合を行います。
マンションの玄関にも同じ商品を使えますか?
戸建て向け商品の案内をそのまま当てはめないでください。マンションでは玄関ドアの管理上の扱い、管理規約、工事承認、適合する商品が関わります。管理会社・管理組合への確認から始めます。
外壁を壊さず交換できるか、写真だけで分かりますか?
写真は相談の入口になりますが、枠の状態や寸法、防火の適合まで確定できません。現地で確認した結果、カバー工法以外の対応が必要になる場合もあります。
現在の条件に合う防火戸を選び、工事後の通りやすさと鍵の使い方まで確認することが、玄関交換を進める際の中心です。古い発表の名前や価格を、そのまま現在の注文条件として使わないようにしましょう。


