補助金制度

既存住宅断熱リフォーム支援事業|120万円の使い方2026

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既存住宅断熱リフォーム支援事業|120万円の使い方2026

「冬の朝、リビングに降りるのが憂うつ。窓際に座ると足元から冷気が忍び寄る」――そんな"寒い家"を、最大120万円の補助金で根本から変えられるとしたら、見過ごす手はないはずです。環境省の「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」(通称:断熱リノベ)は、窓・断熱材・玄関ドアといった家の外皮そのものに切り込む、数ある断熱補助金のなかでも"本格派"の制度です。

ただし、この制度は使い方を一歩間違えると「窓だけ替えたのに支援対象から外れた」「他制度のほうが得だった」という後悔につながりやすいのも事実。本記事では、リフォーム補助金ナビが全国の補助金DBを横断集計したうえで、「あなたの家にとっての最適解はどれか」を判断できる独自フローを提示します。「制度の解説」ではなく「あなたの意思決定」に踏み込む構成です。

この記事と他の自社記事との違い

制度概要は補助金まとめで網羅しています。本記事は「トータル断熱/居間だけ断熱/他制度との使い分け」の判断ロジックに絞り込み、独自試算と意思決定フローを盛り込みました。

1. 既存住宅における断熱リフォーム支援事業とは?2026年度の骨格

⚠️

環境省が所管し、公益財団法人北海道環境財団が執行団体として運営する補助制度です。狙いは住宅部門のCO2削減で、高性能な断熱材・窓・ガラス・玄関ドアを使ったリフォームに対し、資材費の3分の1以内を補助します。2026年度(令和8年度)の公募は、令和8年3月17日(火)から令和8年6月12日(金)17時必着で受付が予定されています。完了実績報告書の締切は令和9年1月15日です。

特徴を一言で言えば、「ピンポイント工事ではなく、住宅の外皮性能をまとまりとして上げる工事」を支援する制度だということ。子育てグリーン住宅支援事業(リフォームの匠 2026)や先進的窓リノベ2026のように"対象建材を1つでも入れたら補助"という単品型ではなく、申請パターンに「トータル断熱」と「居間だけ断熱」の2系統が用意され、改修範囲・改修率・全窓改修の有無といった条件のセットを満たして初めて補助対象になります。

事業の輪郭をつかむため、対象範囲を図で確認してみましょう。

① 窓
外窓交換/内窓設置
② ガラス
ガラス交換(トータル断熱のみ)
③ 断熱材
天井・外壁・床
④ 玄関ドア
勝手口・テラスドアも対象
⑤ 設備上乗せ
蓄電池・熱交換換気等

すべての建材は事務局が公開する「補助対象製品一覧」に登録された型番のみが対象です。カタログで「高性能」と書かれていても、登録外なら1円も補助されない――この仕様が、断熱リノベを"工務店の腕が出る制度"にしている所以です。

2. トータル断熱 vs 居間だけ断熱 ― 独自・3軸の判断マトリクス

ℹ️

最大の分岐点が「どちらの申請パターンを選ぶか」です。両者の違いは単に対象範囲の広狭ではなく、設計思想そのものが違う点に注意が必要です。

比較軸 トータル断熱 居間だけ断熱
設計思想 家全体の外皮性能を底上げ 家族が長く過ごす居間の体感を改善
対象範囲 断熱材・窓・ガラス・玄関ドア 居間の窓のみ(ガラス交換は対象外)
必須条件 改修率基準(戸建)/全窓改修(集合)等 居間の窓全部を改修
上限額(戸建) 120万円/戸 同左(玄関ドア併用で上乗せあり)
上限額(集合・戸別) 15万円/戸(玄関ドア改修時20万円/戸) 同左
補助率 補助対象経費の1/3以内 同左
工期感覚 大規模・足場必要なケース多 1〜数日で完了するケースが多い

ここで多くの読者が迷うのが「自分はどちら?」という問いです。リフォーム補助金ナビでは、居住スタイル・住宅の状態・予算規模の3軸で判断する独自マトリクスを採用しています。

判断マトリクス(リフォーム補助金ナビ独自)

家にいる時間が長く、家全体の寒さを変えたい × 予算300万円超 × 戸建

→ トータル断熱を第一候補に。改修率基準を満たすことで上限120万円に届きやすい。

日中は不在がち、夕食~就寝が居間中心 × 予算100万円前後 × 集合住宅

→ 居間だけ断熱が現実的。窓全部改修は必須なので、居間の窓数を必ず事前確認。

なお、同一住宅で両パターンを同時申請することはできません。ただし過去年度に「居間だけ」で採択されていれば、後年に「トータル断熱」で再申請する余地があるとされる点も覚えておきたいポイントです。

3. 独自試算:戸建30坪・3LDKマンションのケーススタディ

「最大120万円」という金額は、実際にどこまで活用できるのか。リフォーム補助金ナビが過去の補助対象工事の中央値を集計し、典型的な2ケースで独自試算したものが下表です(補助対象経費は資材費相当・上限120万円/15万円を反映)。

工事内容 自己負担前総額 補助対象経費(資材) 補助額(1/3) 上限適用後
戸建30坪・トータル断熱(窓全交換+天井+床+玄関ドア) 約480万円 約360万円 約120万円 120万円
戸建30坪・居間だけ断熱(居間窓4箇所の内窓設置) 約60万円 約42万円 約14万円 14万円
マンション3LDK・居間だけ断熱(居間窓3箇所) 約45万円 約30万円 約10万円 10万円

※ 自社DBの中央値ベースの試算です。実際の金額は製品仕様・施工面積・地域区分により変動します。

ポイントは、「トータル断熱は上限120万円に張り付かせる設計が肝心」だということ。資材費の1/3が上限額を上回って初めて満額が取れる仕組みなので、外壁断熱や玄関ドアまで組み込んで補助対象経費を360万円ライン以上に持っていくのが定石です。逆に「居間だけ断熱で120万円」は構造上ほぼ不可能で、ここを誤解したまま動くと"思ったより少なかった"の典型例になります。

4. 他制度との"使い分け"こそが本丸

2026年度は窓・断熱関連の補助金が複線化しており、「断熱リノベ単独で申請するのが本当に最適か」を必ず検討すべき年度です。同一工事の重複申請は不可ですが、工事項目ごとに違う制度を使い分けるのは認められています。

制度名 所管 主な対象 上限額(住宅・概算) 公募期間(2026年度)
既存住宅の断熱リフォーム支援事業 環境省 窓・ガラス・断熱材・玄関ドア 戸建120万円/集合15万円 2026年3月17日〜6月12日
先進的窓リノベ2026事業 経済産業省・環境省 窓・内窓・玄関ドア 最大100万円/戸 2026年3月下旬〜予算上限まで
子育てグリーン住宅支援事業(リフォームの匠 2026) 国交省 開口部・外壁・天井・床下断熱 上限40〜100万円 2026年3月下旬〜予算上限まで

実務では「窓は先進的窓リノベで取り、外壁・天井断熱は子育てグリーン側で取る」というように、工事項目ごとに最も補助率の高い制度を割り当てるのが王道です。一方、断熱リノベの強みは"高性能な断熱材を含む大規模改修で上限120万円を狙える点"にあるため、外皮の総合改修を1つの工事として一気にやりたい場合に最も投資効率が高くなります。

意思決定が複雑になるので、フローチャートで整理します。

START:あなたのリフォーム目的は?
家全体を一気に断熱
→ 断熱リノベ(トータル断熱)を主軸に検討
窓だけを高性能化
→ 先進的窓リノベ2026を第一候補
居間中心の体感改善
→ 断熱リノベ「居間だけ断熱」または窓リノベ単独
水回り・内装も同時に
→ 子育てグリーン住宅支援との組合せが有利

このように、断熱リノベは「単独最大化」より「他制度と組み合わせて全体最適化」を狙ったほうが、結果として手元に残る補助額が増えるケースが珍しくありません。診断ツールで複数制度の併用シミュレーションを試したい方は、補助金診断で住所と工事内容を入力するだけで、対象になりうる制度を一覧化できます。

5. 申請を失敗させない 5つの実務チェックリスト

制度の良し悪しよりも、最終的に補助額が振り込まれるかは書類と段取りで決まります。リフォーム補助金ナビが施工店ヒアリングから抽出した、申請段階で詰まりやすい5項目をチェックリスト化しました。

💡 申請前チェックリスト(リフォーム補助金ナビ独自)

☐ 使用する建材の型番が事務局の補助対象製品一覧に登録されているか確認した

☐ 交付決定に契約・発注・着工をしていない(決定通知後に契約のはずが、見積確定で先走るケース多発)

☐ トータル断熱の場合、改修率基準(地域区分×改修部位数)を計算した

☐ 居間だけ断熱の場合、居間の窓を1箇所も残さず改修する計画になっている

☐ 同じ建材で他制度に重複申請していない(資材費の二重計上は禁止)

特に「補助対象製品一覧の確認」は、見積もり段階で必ず工務店に依頼しておきたい工程です。製品登録は年度ごとに更新され、新製品は登録されるまで対象外となるため、「カタログ最新型番=補助対象」とは限らない点に留意が必要です。

工事完了後の実績報告も意外な落とし穴です。施工中・施工後の写真台帳、製品の出荷証明、領収書・支払い証憑まで揃えて令和9年1月15日までに提出する必要があり、事業者側の写真撮影や書類保管がずさんだと最後の最後で減額・取り下げになりかねません。断熱リノベの実績豊富な施工店を選ぶこと自体が、最大の保険になります。

6. よくある質問(FAQ)

Q1. 申請者は所有者本人でなければいけませんか?

A. 既存住宅の断熱リフォーム支援事業は、住宅の所有者(個人・法人)が申請者となるのが基本です。賃貸住宅の場合の取り扱いや共有名義の場合の代表者要件など、細かな条件は公募要領に定めがありますので、お住まいの形態に合わせて事前にご確認ください。

Q2. 交付決定前に工事を発注してしまいました。補助対象になりますか?

A. 交付決定前の契約・発注・着工は補助の対象外となるのが通例です。「見積を取って詳細仕様を固める」段階までと、「契約書に押印・発注書を出す」段階を、施工店としっかり区別して進める運用が求められます。

Q3. 先進的窓リノベ2026事業と併用できますか?

A. 同一の工事費用を両制度で重複申請することはできませんが、工事項目を分けて使い分けることは可能とされています。例えば「窓は先進的窓リノベ、断熱材は断熱リノベ」のような切り分けが現実的です。詳細は各事業の公募要領で必ず確認してください。

Q4. 集合住宅で個人だけの申請はできますか?

A. 集合住宅では「戸別申請(区分所有者ごと)」と「全体申請(管理組合)」のいずれかが選択肢になります。戸別の場合は1戸あたりの上限が15万円(玄関ドア改修時は20万円)程度に設定される運用が確認されています。マンション全体での大規模改修なら全体申請のほうが補助総額は大きくなる傾向です。

Q5. 補助金はいつ振り込まれますか?

A. 工事完了→実績報告→確定検査→補助金額確定通知→交付という流れで、最終的な振込まで数か月の幅があるとされています。資金繰りは「自己資金または住宅ローンで一旦立替→事後に補助金が入る」前提で組んでおくのが安全です。


まとめ:センターピンは「総額より配分」

「断熱リノベは120万円もらえる制度」という言い切りは、半分正しく半分ミスリードです。120万円という上限額は設計次第で初めて見えてくる天井であり、住宅タイプ・申請パターン・他制度との組み合わせを誤れば、同じ工事費でも手元に残る補助額が数十万円単位で変わります。

家全体の体感を変える本気の断熱改修なら断熱リノベが主軸、窓だけなら先進的窓リノベ、複合改修なら子育てグリーンと組み合わせる――この「配分の設計」こそが、2026年度の補助金活用の核心です。

次の一歩として、ご自宅の住所と工事内容で対象になりうる補助金を一括比較したい方は、補助金診断から3分で結果を確認できます。制度の俯瞰図を先に押さえたい方は、補助金まとめも合わせてご覧ください。

参考・出典


※本記事は2026年4月時点で公開されている各執行団体・関連サイトの公開情報に基づき作成しています。補助金の要件・上限額・公募期間は年度や予算消化状況により変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、必ず公益財団法人北海道環境財団の最新の公募要領および各執行団体の公式情報をご確認のうえ、リフォーム会社・自治体窓口にご相談ください。本記事は特定の制度の受給を保証するものではありません。

━━ この記事の作成・監修 ━━

リフォーム補助金ナビ編集部

在籍資格者

ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)住宅ローンアドバイザー宅地建物取引士

国土交通省・各自治体の公式発表に基づき、補助金情報を毎日更新しています。
掲載情報に誤りを発見された場合はお問い合わせよりご連絡ください。

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