日本ペイントは2026年5月13日、6月1日出荷分から溶剤系塗料を25〜35%、水性塗料を20〜30%値上げすると発表しました。発表には、6月1日以降の出荷であれば既に受注した分も対象になることが記されています。
外壁・屋根塗装を検討している人にとって大切なのは、塗料代の改定を知ったうえで、自宅の見積もりのどこに反映されているかを確認することです。塗料の値上げ率が、そのまま工事総額の値上げ率になるわけではありません。
この記事では5月の発表内容を残しながら、9月25日時点で確認できる価格表の更新と、これから見積もりを取る際の確認点を整理します。これから工事を依頼する場合は、改定後の材料価格と現在の見積条件を確認します。
このニュースの要点
| 確認する点 | 日本ペイントの発表内容・その読み方 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年5月13日 |
| 改定の基準 | 2026年6月1日出荷分から。住宅の着工日や施主の契約日とは別 |
| 溶剤系塗料 | 25〜35%の改定 |
| 水性塗料 | 20〜30%の改定 |
| 既受注分 | 6月1日以降の出荷分は対象 |
| 直送運賃 | 改定対象。地域や情勢等によって異なり、一律額ではない |
| その後の価格表 | 8月7日のお知らせで、6月の改定を反映した設計価格表2026年7月版を案内 |
出典:日本ペイント・5月13日の価格改定発表、日本ペイント・8月7日の設計価格表更新案内。発表にある区分別の幅と、個別製品の実際の仕入れ価格・販売価格は分けて確認してください。
何が値上がりしたのか|水性・溶剤系・シンナーを区別する
対象は塗料類全般と直送運賃です。外壁用だけでなく、屋根や鉄部などに使う塗料も、採用する製品区分と品名で確認する必要があります。一軒の塗装工事で、外壁の上塗り、下塗り、屋根、雨樋や鉄部に別の製品を使うこともあります。
水性と溶剤系は、缶と正式な商品名で確認する
次の写真は、どちらも日本ペイントの商品ですが、同じ塗料ではありません。似た名前でも、水性か溶剤系か、適合する下地や仕様が違います。 見積書にはメーカー名に加えて正式な商品名を記載してもらうと、価格改定の対象や仕様の照合がしやすくなります。
写真:パーフェクトトップSi。水性1液の外壁用塗料の例です。出典:日本ペイントの商品説明。缶の写真から自宅の使用量や工事費は判断できません。
写真:ファインパーフェクトトップSi。弱溶剤1液の塗料の例です。出典:日本ペイントの商品説明。上の水性製品と混同せず、施工会社が提案した品名・下塗りとの組み合わせを確認してください。
この2製品を掲載したことは、個別の値上げ率がそれぞれ20%・35%などと確定したことを意味しません。5月の発表は区分別の改定幅であり、品目ごとの金額は別に確認する必要があります。
シンナーの75%改定は、通知日と適用日を混同しない
5月13日の発表は、シンナー製品について3月19日付の通知に基づく75%の値上げに言及しています。3月19日は通知の日付で、すべての注文に適用される日と同じとは限りません。 塗料本体の改定率とシンナーの改定率を足し合わせて、工事全体の値上げ率を作ることもできません。
なぜ値上げされたのか
日本ペイントは、中東情勢の影響を背景に、原油・原材料と調達物流費の高騰などを理由として挙げています。発表では、原材料の高騰状況によって一部製品は案内した改定率を上回る可能性にも触れています。
これは発表時点の説明です。9月時点のすべての商品が再び値上がりした、今後必ず同じ率で上がる、とまでは読み取れません。追加改定の有無を調べる際は、採用予定の製品名と発表日を揃えます。
材料や設備の価格改定を横断して確認したい場合は、リフォーム値上がりと見積もりの確認ポイントも参考になります。材料の供給が落ち着くことと、販売価格が元に戻ることは別の問題です。
塗料の値上げは、外壁塗装の総額にどれくらい影響する?
塗装工事の見積もりには、塗料・材料のほか、足場、養生、高圧洗浄、下地補修、施工、付帯部の塗装などが含まれます。材料の比率、施工面積、傷み方、発注先の仕入れ条件が異なるため、メーカーの改定幅だけで一軒分の上昇額は計算できません。

工事費の内訳を整理する概念図で、3つの費目が同額という意味ではありません。見積書の塗料名・数量と工事範囲を確認し、値上がりがどの項目に対応するかを照合します。補修方法・工程を示す図ではないため、ひび割れは原因・状態に応じた下地補修を先に確認してください。
計算例|材料の30%増を総額に掛けない
計算の考え方を示す仮例です。実際の相場・材料比率・販売価格を示すものではありません。
| 内訳 | 改定前の仮例 | 材料部分だけが30%上がった仮例 |
|---|---|---|
| 対象となる材料部分 | 20万円 | 26万円 |
| それ以外の工事・経費 | 80万円 | 80万円 |
| 合計 | 100万円 | 106万円 |
この仮例では増加は6万円、総額の6%です。総額100万円に30%を掛けた130万円ではありません。一方で、足場・人件費・補修範囲も変われば総額は別の動きになります。実際の見積もりでは、改定前後で同じ工事を比べているかも確かめます。
詳細な内訳の読み方は外壁塗装の費用相場と見積もりへ。建物の延床面積と、実際に塗る外壁の面積も別なので、床面積だけを塗料の単価に掛けないようにしましょう。
9月以降に見積もりを取るなら、何を確認する?
6月1日は既に過ぎています。今から依頼する人は、改定前の価格に間に合わせようと急ぐより、提示された価格の時点と、工事範囲を揃えることが大切です。8月に案内された設計価格表も、個々の住宅の最終見積額を保証するものではありません。

見積もりを確認する順序の図です。最初に仕様を固定し、その価格がいつまで有効かを確認したうえで、工事内容や価格を変更する場合の連絡・合意方法を決めます。
| 施工会社に聞くこと | 答えによって判断すること |
|---|---|
| 外壁・屋根・付帯部それぞれの塗料名と下塗りは? | 同じメーカーでも仕様が違えば、価格差をそのまま割高・割安と判定しない |
| 見積額は、いつの価格を前提にしていますか? | 古い見積もりなら、同じ仕様で再提示してもらう |
| 塗装面積・使用量・塗り回数は? | 面積と工程が違う見積もりを、総額だけで比べない |
| 足場、補修、シーリング、付帯部、運搬は含まれますか? | 別途項目を足した総額を比較する |
| 見積もりの有効期限と変更条件は? | 有効期限だけでなく、再見積もりが必要になる条件を確認する |
| 値上げを理由に増額する場合、どの費目がいくら変わりますか? | 材料・運賃の説明と、見積書の変更箇所が対応するか確認する |
契約済みの場合も、メーカーが価格を改定したという事実だけで、施主の契約金額が自動的に同じ割合で変わると考えないでください。契約書と提示された変更内容を確認し、工事を進める前に説明を受けましょう。
よくある質問
水性に変更すれば、必ず安くできますか?
改定幅だけでは判断できません。元の単価、塗る部位、下地、必要な性能、施工仕様が違うためです。施工会社へ、水性への変更が適合するか、下塗りや工程も変わるか、工事総額はいくら違うかを聞きます。安くするために下地へ適合しない塗料を選ばないことが大切です。
以前もらった見積もりは使えますか?
まず見積日、有効期限、塗料名、工事範囲を確認します。期限を過ぎた場合や採用商品・施工範囲が変わった場合は、同じ書式で再提示してもらうと増減の理由が分かります。古い金額だけで予算を確定しないようにしましょう。
日本ペイント以外も同じ率で値上げしていますか?
この記事の改定率は、日本ペイントの5月13日発表に限ります。他社・他製品へそのまま広げることはできません。比較したいメーカーの公式発表と、個別の見積もりを確認します。
原油価格が下がれば塗料もすぐ値下がりしますか?
原油以外にも原材料、物流、製造などの費用が関わります。原油相場の変化だけで販売価格の変更日や値下げ幅は決まりません。見積もりの時点で適用される価格を確認してください。
値上げが続きそうなら、すぐ塗り替えるべきですか?
価格だけで工事時期を決めず、外壁の傷みと必要な補修を先に確認します。雨水の侵入が疑われる場合などは、その原因調査と処置が塗装とは別に必要になることがあります。調査結果、予算、施工可能な日程を並べて計画しましょう。
関連記事と出典
- リフォーム値上がりと見積もりの確認ポイント
- ナフサ不足とリフォームへの影響
- 外壁塗装の費用相場と工事内訳
- リフォーム見積書の見方
- 日本ペイント・価格改定のお知らせ(5月13日)
- 日本ペイント・設計価格表の更新案内(8月7日)
発表・価格表・製品情報の確認日:2026年9月25日。発表日と確認日は別で、5月の出来事を9月の新規発表として扱っていません。



